2013年9月7日土曜日

【〜の可能性があります】 2013年7月29日

MRが頻繁に用いる言い回しのひとつ。
「弊社の製品には、〜を**する可能性があります」。

ディテーリングや院内説明会など、自社製品について色々な場面で便利なこともあって、つい日常的に連呼してしまうのかもしれません。

臨床医である管理人も、患者さんへの説明中に、複数の病状予測を述べる場合などで使っています。
「現在よりも呼吸の状態が安定すれば、この薬剤を中止できる可能性が30%程度あります」といった具合です。

「良い見込みはゼロではない」という積極性を含むニュアンスになりますし、断定できない複雑な治療経過を伝えるには、やはり便利だからです。
もちろん、誰に対しても、どの状況でも連呼すると、診断思考&慎重さが欠けた医師になってしまうので要注意です。

さて、『可能性=物事が実現できる見込み』ですから、その有無よりは、大小のほうが実際には重要です。

MRが「弊社の製品で、〜を**できる可能性はないのです」と断言している場面は少ないでしょうから、営業&情報提供では、どちらかと言えば、他社製品よりも肯定的な効果を示したいわけです。

しかし、「可能性がある」という大ざっぱな表現に頼っていて、MRの責務は十分に果たせるものなのでしょうか?

「弊社の製品には、〜を**する可能性が、約30%あります」と、「弊社の製品には、〜を**する可能性が、約90%あります」では、実現見込みが3倍も異なるわけです。

どちらも、可能性というくくりでは同じ言い回しになりますから、大小を明確に示すことが、情報の正確さを担保する上では不可欠です。
医師は後者のほうが治療が奏功するだろうという期待を抱くでしょうし、証拠となる正しいデータがあれば、処方に進む決断もしやすい。

けれども、MRのディテーリングや質疑応答中、よく分からない内容について”曖昧に返答する”意味でも、「**の可能性があります」となりがち。

便利な言葉である「可能性」を言いっ放しにしたままだと、対面する医師としては「どれくらいの可能性?」と、新たな疑問を抱きます。

社内資料に明確な数値が示されている場合は簡単でしょうが、その他の難しい状況でも、担当MRの知識をもとに想定できる”可能性の大小”については、その場で返答したほうが良いと思います。

きっちりと数値が分からない場合でも、大小については把握しているというMRであれば、可能性を一緒に討議できると医師は思うからです。
何か足りないデータや変動条件があるのかを、MRと時間を共有して考えることは、診断思考を補強する上で重要なポイントになります。

各製薬企業では「可能性の大小」をMR個人で考えさせるトレーニングが少ないこともあり、多忙な勤務の中では、決めぜりふとして使うことが起こりやすくなっています。

クロージングのひとつとして、「〜の可能性がありますので、ぜひ先生方のご処方にお役立てください」というのは、細かい不備を突っ込まれにくく、真っ向から否定されることが少ない。
けれども、使いすぎるとMR個人の大切な信用を、気がつかないうちに落としてしまう結果になります。

「彼は、いつも可能性を連呼しているけど、具体的な数字になると全然分からないんだよね」と、医師が内心では思っているかもしれません。

何%の可能性なのか、または大小どちらの可能性なのか?
日々のMR活動では、担当製品や経験年数に関係なく、日頃から注意すべきポイントだと思います。

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