2013年11月14日木曜日

【訪問規制から考える、丁寧な説明】2013年11月12日

各社MRへ対する医療機関の訪問規制について、製薬業界誌での特集記事が増えてきました。

Yakugyo Jihoの最新号では、私立大学医学部付属病院におけるMR訪問規制の実態について、かなり詳細な報道がされています。
また、管理人が連載をしているMonthlyミクスでも、これまで多くの特集記事を組んできており、MRにとって難しい状況になっていることが分かります。
有名ビジネス誌でも、大学病院の入り口や駐車場で医師を待ち構えるスーツ姿のMRたちを、患者にとっての異様な光景と扱っているのです。

こうした報道の中で興味深いのは、
(1)迷惑行為・マナー違反をする一部のMRが存在し、それらの苦情に対して全体に訪問規制をかけざるをえない
(2)医療機関がセキュリティ強化の一環として、MRの入構を制限している
(3)患者の個人情報を保護するため、医局内への立ち入り行為を制限
(4)高額な自社医薬品の新規採用を働きかけるMRがいることで、医師の採用申請が影響されて、医療機関の収益が悪化する
(5)院内で滞留して、医師たちを出待ちしているMRの様子が、患者サービスの面では好ましくない
といった内容が、共通している点です。

医療機関の大小に関わらず、こうした訪問規制=MR締め出しの理由は、いつも似通っています。
個人開業医の場合、面談時間に規制を設けているのは半数以下とのことですが、やはり「医療機関にMRは滞在しにくい」時代になっていると言えます。

上記(1)~(5)は、これまで医療機関と製薬企業の関係において長年黙認されてきた、当たり前の光景でもあります。

つまりMR(かつてはプロパー)という職業は、
【1】医療機関における常識や業界内のマナーを、ライバルを見つつ上手に守るので、MR個人への苦情は後回しになってきた
【2】性善説のごとく、スーツ姿のMRに対して受け入れ態度が寛容であり、顔パスで院内を出入りできた
【3】患者のカルテが山積みになった医局内で、カルテを見ないふりをしつつ、MRが医師に至近距離で猛セールスをかける
【4】高くても素晴らしい効能効果があるので、先生方のお役に立ちますとキーメッセージごと連発するので、新薬採用が増える(薬価差益は減る)
【5】患者たちはスーツ姿が密集している近くで、難しい専門的な営業トークを黙って聞き、医師が偉そうに振る舞っているのを目撃して困る
という状況の中で、毎年の営業成績を伸ばし、医療機関やターゲット医師を攻略してきたとも言えるのでしょう。

【1】〜【5】は、アンチMR派=MR不要論者の意見にもなります。
MR資格保有者が6万人以上もいて、各社での維持コストが総計で1兆数千億円/年にのぼっており、いつまでも自社利益を追求するので国民医療費が高騰する原因だというのも、一理あるわけです。

もちろん、多くのMRは職業面での資質や才覚に関わらず、真面目に努力している人々です。
製薬企業や雇用形態、経験年数の差に関わらず、「医療に貢献したい」と真剣に考えているだけでも、職業人としての誇りに満ちている。
少数の”嫌がられているMR”が行う低レベルな活動によって、全員が同一の訪問規制を受けるのは大変に気の毒だとも言えます。

とはいえ、医師個人による完全アポイント制では「医師が訪問規制したいMR」を自由勝手に選ぶことになり、さらに不公平になりえます。
現状では、窮屈なルールを皆で甘んじて受け入れ、その中で達成可能な良きMR活動を目指すことになっていくわけです。
(管理人なりの解決策は、”MRの訪問契約書”と題して、Monthlyミクス連載に記しています)

最近では夕刊紙の広告に、MRを医師とともに登場させて一般イメージの向上を狙ったり、テレビCMを放映する事例も出てきています。
MRをもっと、”医療に必要かつ、重要な情報提供・収集を担う職業”として、活躍させたいという企業意図もあるのです。
認定試験の難しさ、必修研修の厳しさを考えれば、MRの活動はもっと国民から評価されても良いはず。
しかし、営業人員として自己利益を追求する言動を、医療機関内、医師など医療専門職、患者の前で毎日繰り返していても、正当な理解は得にくいのです。

MR個人がすぐにでも出来る改善案は、日々の業務で出会うさまざまな相手に対して、”丁寧に説明すること”。
会社員としての営業ノルマや出世目標を後回しにする必要はありませんが、とにかく相手にはこちらの事情が分かりにくいのだ、という厳しい自覚が必要です。

製薬業界内にどっぷり浸かっていると見えにくい事実ですが、MRへの嫌悪や無関心は、説明することで多くは改善するはずです。

「どうして今日は来ているの?」と医師から質問されて、「新製品のご案内と、講演会のお知らせです」では、相手が関心や興味を抱くでしょうか?
本当にそれだけで、営業車を懸命に運転して、院内まで医師を待つ理由になるでしょうか?

「新製品についてお知らせしたいことがあり、さらにMRとしては今後の医療発展に関する期待を抱いています。この治療法の改善について、先生と率直にお話してみたいのです。また、関連する分野については、一線でご活躍中の先生を招待した講演会もございます。ただ聴講するだけでなく、私も先生と討議できるテーマを更に見つけたいと思っています。」

廊下で黙っているMRは、本当に言いたいことを隠してしまったまま、時間を浪費しているのかもしれません。
大変ではありますが、どういう状況であっても丁寧に説明するのだという個人の心構えが、きっとMR活動を好転させてくれるでしょう。

営業論や話術のテクニックというよりも、新たな価値を進んで見いだそうとするかという、個人の課題でもあると思います。

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