2013年12月24日火曜日

【MRの表現力向上】2013年12月23日

MRにとって嫌な経験のひとつは、昼の製品説明会中に「聴衆が居眠りしてしまう」ことでしょう。

薬剤部や医局の説明会予約表から他社MRに先んじて日程を確保し、美味しいお弁当と飲み物の手配を済ませ、営業所内でプレゼンテーションを自主練習。
配付する製品資材や特製グッズも取り揃えて、PCプロジェクターとスクリーンを携行し、体調も維持して大切な当日をむかえたのに・・・。

最初の5分で、聴衆数人が居眠りし始め、その後は外来直後の医師だけでなく、薬剤師や看護師もウトウト。
妙にゆるんだ雰囲気のまま、淡々と15分の持ち時間が終了。
きちんとしたスライドセットで過不足なく製品の優位性を説明できたにも関わらず、聴衆からの反応は乏しく、しかも質問が少ない。
製品パンフレットに記載された内容をMRに再確認するだけの医師たちは、「じゃあ、これで終わりますね」と足早に解散していく。
積み上がった弁当の空き箱と余った資材を片付けながら、MRは安堵以上にやりきれなさを感じて、低いテンションのままその病院から撤収する、といった事例です。

管理人も各医療機関で多くの製品説明会を聴講してきましたが、慌ただしい午前業務のあと、昼食と同時に行われるとあって、参加者の緊張感は、どうしても低くなりがちです。

朝から働き続けて、空腹に美味しいお弁当、という組み合わせは、食べる方に気持ちがつい向いてしまい、MRへ関心が向きにくい。
説明会の聴講は、勤務評定に響くような正式業務ではありませんから、このMRには申し訳ないと思いつつ眠気に負けて・・・という事態も起きてしまうわけです。

とくに医師が本気を出している外来・病棟での診察、検査や手術といった場面と比較すれば、MRには対してそれだけの緊張感を抱くわけではない。
MRは院外から登場する部外者ですし、営業部門ということで「担当製品を売りたくて、熱心に説明」している。

宣伝色が強い言動を日頃から見せているMRの製品説明会は、その内容が科学的に優れたプレゼンテーションであっても、ありがちな色眼鏡で見られやすいのです。
懸命に努力しても、聴衆からの反響や批評が少なければ、職業上の成長をもたらすフィードバックがMRには得られない。

しかも、訪問規制が拡大する中では、廊下の大勢ではなく、MRがひとりで主役になれる製品説明会の位置づけは、ますます重要になります。

面会回数(コール数)が稼げなくても、月1回の説明会で医師たちから大きな信頼を獲得することで、処方を得るチャンスがやってくるからです。
となると、各施設で居眠りする聴衆を減らし、相手の記憶に残る印象深い説明会を実施することが、今後のMRにとって重要課題となるのです。

では、何を工夫すれば良いのでしょうか?

スライドセットや資材、論文等は製薬協のプロモーション・コードの関係から、MR個人が勝手に変更できません。
主力製品であれば膨大な資料の中からMR本人が選択する場合もありますが、自由な発言をして誤った医薬品情報を拡散してはいけない。
窮屈な立ち位置のまま、しかも社内では営業部門のひとりです。
「売って(処方してもらって)」評価される職業としては、担当品が売れるような強いメッセージを聴衆にぶつけたくなるものです。

でも、聴衆側には、MRの月別成績がどうであろうとあまり関係がない。
職業的に役立つ情報をMRがびしっと教えてくれるかが大切で、「売りたいMR」と「売りは関係ない医師」といった対立構図になるわけです。

そこで、最近は、MR個人に最大のチカラを生む要素は「表現力」だと、管理人は考えるようになりました。

声・表情・身振り・外見といった要素を細かく見直し、MRが相手の関心をすぐにひける要素を専門的に訓練する。
各社にMRが使うべき製品資料が揃っているので、「台詞」は基本的に全国共通ですから、一斉に改善しやすい。

台詞以外には、声の出し方、表情の見せ方、身振りの適切さ、外見的な印象を磨くことになる。
これまでも各社でプレゼンテーション研修を見てきましたが、内容の正確性や暗唱力を問うだけで、そこに「表現の豊かさ」という切り口が足りないのです。

おそらく、聴衆が昼に居眠りしてしまう理由は、MRの説明内容が悪いというよりも、個人が発揮できる表現力の不足にある。
さらには、眠気を吹き飛ばすような驚きや感情の発露がないので、MRの努力未満の反応しか返ってこないのではないでしょうか?

MRが置かれた窮屈な言動制限と、退屈さから眠くなる医療従事者たちとのすれ違いを冷静に考えれば、「MRは驚くべき表現力を身につけて、相手を予想外に驚愕させる」方法がもっとも良いと考えています。

しかし、現状ではCA経験者からのマナー研修はあっても、本格的な表現力向上を狙うMR向けプログラムは見かけない。
MRが素晴らしいプレゼンターになるために、時間と費用を投入して、専門家から訓練を受ける機会が今後は非常に重要になると思います。

とくに、会場内で多くの聴衆に聞き取りやすい声の出し方、抑揚の付け方、表情の変化。
これらは実は、舞台に立つ俳優の技能である、と管理人は考えています。
連日の公演中でも間違えない正確な台詞回し、多くの観客を魅了する豊かな感情表現、雰囲気の演出。

昼の製品説明会が、MRにとっての晴れ舞台であると捉えるならば、”プロの俳優からMRが指導を受ける機会”が社内研修としてあっても良いでしょう。
MRには、一定のプレゼンテーション用台詞やキーメッセージが存在するので、俳優との重複点も多い。

もちろん、ただ俳優から表現力そのものを習うだけでは不足であり、MRが目指すべき職業スキルと同時に学ぶことが必須です。
そうでなければ、中身が変わらず台詞回しだけが妙に仰々しい、大根役者のようなMRになってしまいます。

来年から、管理人は友人のプロ俳優と組んで、自らの仮説を実証するMR研修を企画しています。

廊下では静かなMRが、昼の説明会が始まった途端に豹変し、生き生きとしたプレゼンテーションを面前で始めたら、そのギャップに聴衆は驚くことでしょう。
地声でも部屋の隅々に声が響き、重要なポイントを分かりやすく説明できたなら、MRを無視して居眠りする聴衆はいなくなると思います。
そんな説明会を、管理人としてはたくさん目撃してみたい。
(研修の詳細は、当Facebookページの系列ページでご案内していきます)

居眠りが続出する製品説明会は、MRの説明内容が悪いというよりも、「大勢の聴衆を魅了する技能が身についていない」ためではないでしょうか?
社内外で講演し、初対面の人たちの前でプレゼンテーションをする管理人としては、各会場で演壇に上がる度にいつもそう思うのです。

相手を驚かせることは、自らの被記憶率を向上させ、説明内容を覚えてもらいやすくなります。
おそらく、通常の訪問時にも医師たちからの問いかけが多くなり、見事な表現力をもってMRは堂々と返答できるようになるでしょう。

各社を悩ませる訪問規制の拡大を打ち破るには、リマインダーとしての人間MRの表現力向上が、とても重要なのです。

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