2014年3月22日土曜日

【思わせぶりな宣伝】2014年3月21日

自動車や家電製品のCMでは、ティーザー広告を多く見かけます。

思わせぶりな映像やフレーズを先行して広めることで興味や関心を引きつけ、その後に正体を明かしてさらに宣伝効果を上げる、というタイプの広告です。
それだけでは意味不明な内容から、綿密なストーリーを冒頭だけ公開するものまで、じらし方には色々なバリエーションがあるようです。

さて最近、某医療系紙媒体を読んでいたところ、大手企業によるティーザー広告が複数掲載されていました。

光り輝く未来や、雄大な自然をイメージさせるような絵柄が全面的に描かれているだけで、すぐには製品広告と分からないような内容です。
当然、社名はあっても新製品名は載っておらず、これから発売される素晴らしい医薬品がありますよ、という雰囲気で意図的にとどめているわけです。

正式に薬価収載される前から、マーケティング戦略上は製薬企業同士の激しいつばぜりあいが繰り広げられており、ティーザー広告はその一端でもあります。
製品名も載せないイメージ広告に一体、どれほどの宣伝費を投じているだろう?と管理人としては気になるのですが、読者に良き未来を想像させる効果はそれなりにあるのでしょう。

こうした医薬品宣伝の一環には、MRも関わっているわけで、医師が「次の新製品は、どういう効果があるんだっけ?」と質問すると、「先生、まだ発売前で詳細は申し上げられないのですが・・・」と同じようにティーザーな返答をしてしまう。
実は詳しく知っているのだけれど、正式発売前にフライングは許されていませんよ、という思わせぶりな言動によって、医師などの興味を惹きつけようとするのかもしれません。

アーリーアダプターと呼ばれる、すぐに新製品を処方してくれる医師群は、好奇心も旺盛でティーザー広告に影響されやすいでしょうし、販売成績を伸ばしたいMRが猛然と宣伝攻勢をかけてきます。
冷めた態度でティーザー広告を眺めている管理人などに対しては、理路整然と攻めにくいから後回しで、という判断になるのでしょう

どちらにしろ、患者さんの治療結果が向上する新医薬品であれば、医師たちは何かと勉強したいという思いを抱きます。
(1)良い医薬品→(2)良好な治療結果→(3)適切な処方判断をした医師のおかげ→(4)名医&良医だと患者さんから感謝される、という展開が期待できるからです。

通常、MRは(1)について詳細に紹介をしたり、(2)を最大限にアピールするために職務に就いています。
医師は(4)の立ち位置ですが、(3)の処方判断を適切にという場面ではMRの力量にも期待しているのです。
先回りして色々な注意点を教えてくれるMRであれば、実際に処方するときに自信を持ちやすくなる。

この流れの中で、MRがティーザー広告と同じようなイメージ喚起ばかりをしていると、処方に関する現実的な医師の悩みを拾い上げられず、スピーカー型の言動に日々染まってしまうことでしょう。

管理人は"タッチ&ラン(アウェイ)"と呼んでいるのですが、MRが自社医薬品のイメージ部分を華やかに話し、その先にある処方判断の葛藤を受け止めてくれない場合、近づいてきたわりには都合良く逃げていった、という捉え方になります。

新規の医薬品であればまだ使用実績がなく、予想外の副作用に関する一抹の不安も抱えるわけですから、各媒体から医師は信頼できる情報を集めるわけです。
もっとも出会うMRが、都合良く接近してきた後に逃走してしまえば、わざわざ追いかけて質問するだけ時間の無駄になってしまいます。

昨今の訪問規制拡大においては、こうした宣伝型MR活動が、ティーザー広告のような思わせぶり&しかし科学的に突っ込むと満足に返答できない、という実情から敬遠されているように感じるのです

かといって何の予告も事前情報もなく、いきなり新製品の宣伝を開始するのは難しいという実直な声もありそうです。

驚きこそあれ、突然の新発売という販促作戦は医療制度上ありえないため(まず薬価収載されるので)、何らかの情報リークを意図的に狙ったり、徐々に話題性を高めるという方法が続くのでしょう。
MRとしては、自社なりコプロの新製品を担当する際、発売前から良い治療イメージを広めておくことで、次の面会や説明会をスムーズにこなすことができるかもしれません。

つまり、思わせぶり作戦には一定の認知効果があるものの、核心部分を正確に把握しないままにしておくと、MRは信用を急速に失ってしまう。

自社が何らかのティーザー広告を開始している場合には、社内資料や関連論文などを確認し、医師などから厳しい質問が飛んできても最低限は返答できるよう、準備しておくべきでしょう。

最初に期待値を持ち上げておいた分だけ、新製品の性能が素晴らしくとも、準備不足のMRがダメに思えてしまう危険性は少なくない
皆さんも、医療系雑誌や学会誌に掲載されている自社広告を見直してみてはいかがでしょうか?
意外とティーザー広告が多いかもしれませんよ。

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