2014年5月8日木曜日

【GP担当のMR】2014年5月7日

各製薬企業でMR研修に関わる中で、いつも疑問に思うのは、GP(General Practitioner;開業医)担当のMRが、社内では上位扱いされていないことです。
GP一筋の大ベテランであれば、いわば職人として評価されているようですが、皆が熱心に目指す出世コースとは言いにくい。

HP(Hospital;主に総合病院)担当や大学担当であれば、エリアの重要施設を担うエース級MRの人材として、着実な出世コースに乗っている様子が分かります。
年齢的にも職位的にも、豊富なGP経験をもとに昇進してきた、という姿が普通ですし、意識的に職歴をGP担当に捧げてきたというMRは少数派でしょう。

企業によっては採用年度でGP担当やHP担当を分けている場合もありますが、新卒MRはGPを経験してから次の段階へ、というのが標準的なキャリアプランです。
ベテラン医師が揃うGPに対して、経験も知識も浅いワカモノMRが説明する構図は合理的とはいえませんが、営業人員としてのフレッシュさや元気さが活用できる、という経営判断でしょう。

ところが、上位ランク対象のMR研修を各社で行ってきた管理人は、たいていの参加者が大学担当・HP担当であることが不思議でなりません。

内々に事情を聞いてみても、どうやら「大学担当>HP担当>GP担当」というピラミッド型順位が完成されており、成績下位者にはやり直し勉強用のプログラムがあります、という返答が多い。
地域医療で孤軍奮闘するGPが不勉強とは言い切れないですし、講演会で学術的に鋭い質問を飛ばすGPもいるわけで、「下位のMRをGPに充てる」意味合いはないと思うのですが。

現実問題としては、販売額の大きい&競合他社が強い医療機関では、成績上位者を訪問させなければ簡単に負けてしまうという危惧もあります。
他社のライバルMRが成績上位者ばかりである営業環境に、不慣れな新米のMRを充てるのは最初から敗北が見えている、とも言えそうです。
ただし、こうした人員配置法が本当に正しいのかどうか、きちんと実証して確認できていないようにも思えます。





GP担当は施設数が多い(1人で数十施設)
→各医療機関での滞在頻度が多い&面会時間が短い
→細かい学術質問に答えられなくても、訓練次第でとりあえず乗り切れる
→移動と待機が大変なので、日頃の体力は必要
→医師のバリエーションや知識水準も、玉石混淆
→若手MRや下位MRに向いている、修行環境
といった発想でしょうか。

「GP→HP→大学」というのが、典型的なMRの出世コース。

一方、医師の場合は「大学(研修先)→関連HP→また大学(大学院)→さらに関連HP→GP」という方向性なので、年齢もキャリアも"MRの逆"を行っているようです。

市中HPで初期臨床研修を始めれば「HP(研修先)→大学(大学院)→関連HP→大学→GP?」という流れですが、医師キャリアの中盤から後半にGPが登場しやすいのは同じ。
2代目、3代目として診療所を継承する医師も多いわけで、MRとは逆の方向になるわけです。

MRと医師が同じようなキャリア方向性を持つわけではありません
企業内で競争しながら昇進していく、あるいは転職・独立していく職業と、国家資格で生涯のキャリア保証が(一応)ある職業では、何かと事情が異なります。

ただ、ベテラン揃いのGPに対して、「成績下位のMRを配置するのは人材の構成上、仕方がない」という発想であれば、医師キャリアの意味を理解していないことになります。
「政治力がある医師会幹部には上位MRを」とか「老年で良く分かっていない先生だから下位MRでも可」という企業側の勝手な都合は、予想外の苦戦を生む原因ともなります。

下位MRばかりを充てられてしまったGPの視点から見れば、一部の製薬企業でも上位MRが混じっていれば、やはり有能なMRを日常的に頼りたくなります。
いわば、自院担当MRの中で最初から成績差がついているので、選抜するGP側としては、楽そのもの。
結果として、上位MRが担当するGPでは、その企業の売り上げが常に確保されやすい傾向になります。

もし管理人がGPをしていて、各人の社内成績は分からないまでも、下位MRが多めに配置されているようだと感じた場合、医師の立場としては、少しでも頭脳明晰で優秀なMRを探そうとするでしょう。
さらには開業前の勤務先が大学や有名HPだった場合、同じ企業内でのMR格差を痛感することになります。
情報提供の格差が生まれれば、おのずと処方傾向にも影響が出てしまう。
ダメMRがお勧めしている医薬品を、喜んで使おうとは思いにくいものです。

明確なマーケティング理論が出来ていないのが製薬営業なのですが、もしかしたらと感じた方は、社内の担当先ルールを見直した方が良いかもしれませんね。

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