2014年8月28日木曜日

【MRポイントカード制の導入(前編)】2014年8月25日

製薬業界が抱えている多くのビジネス課題は、他業界での経験や成功事例を用いることで、一風変わった解決策を見出すことができます。
特殊な営業&プロモーション形態を展開しているとしても、その内実やプロセスは各業界と共通項だらけであって、いつも孤立無援とは言えない。

管理人が展開しているMR研修や各提言も、「医師業」という伝統業界で脈々と築き上げられている事項を、自由気ままに照らし合わせているわけです。
最近では、俳優&MRという異業種コラボにも挑戦し、実際に現場で理解できる本質も、何かと興味深いのです。

そこで、今回は「MR&ポイントカード」という、B to BとB to Cの違いを大胆に無視した発想を考えてみたいと思います。
B;Business
C;Customer
その理由はまっとうな内容ですので、後述していきます。

ところで、顧客(医師・薬剤師)側から眺めたとき、面談後のMRが置いていく物理的な資材は何でしょうか?
製品紹介のパンフレットに始まり、関連論文、座談会記事、学会速報、講演会案内など、数社から受け取るだけでも相当なボリュームになります。
プロモーション用のタブレット端末が普及しても、MRが置いていく「情報の足跡」は、さほど変化がありません。

それらは整理整頓や、自力で要約でもしないかぎり、机上に紙の山を築いていく、あるいは引き出しや書棚を埋め尽くす結果になります。
「後で読もう」という行為は、院内ではほとんど達成出来ないわけで、専属コンシェルジェがいてくれたら・・・という管理人なりの妄想を抱くわけです。

顧客が積極的に請求してきた資材でもなければ、何となく&とりあえず机で置き去りになる可能性が高いことは、MR側も分かりきっています。
「先生に資材をお渡ししても、どうせ無駄ですよね!」と面前で言い切れる勇気がないとすれば、MRが社命に従う忠実な配達係になってしまうのは当然のこと。
訪問回数が多くなれば、物理的な資材が"お土産的"に増えていくわけで、他社MRに負けたくないという意地も反映されやすくなる

実はB to Bが、お互いにこの状況を変えたいと毎日思っているのに、製薬業界ではイマイチ、共通の解決策を見いだせないわけです。

そこで、もっと自由気ままな顧客を相手にしているB to Cビジネスで、大定番となっているポイントカードの出番です。
こんな枚数は必要はないだろう、と思っているけれども、急に減らせない各種の店舗カードたちは、「次の使用機会を期待できるから」と面倒でも持ち歩くわけです。

ポイントが蓄積されていく仕組みは良く考えられていて、放置すると期間ごとに減算されていくタイプより、「貯まった」優越感が生じやすくなっている。
消費税率8%の時代にあって、支払金額のわずか1%相当しかポイントでは戻ってこないのに、「もらえないよりは少しお得」という消費者心理を研究しぬいたビジネスモデルなのでしょう。
今日も我々=Cの人々は、各店舗やサイトで、ポイント蓄積&使用に励むわけです。




この発想をMRとの面談という、院内の通常に持ち込むと、色々と面白い仕掛けが考え出せます。
仮に「MRポイントカード」と呼ぶことにしましょう。
発行元は、製薬業界の最有力団体である、製薬協としてみます。

まず、クレジットカードのごとく、医師・薬剤師などのランク分けをしなければいけません。
すべてに顧客に平等なポイントカードを設定すると、伝統あるピラミッド型資格業界としては、やはり面白くない。
1年目の研修医と教授のカードが同色では威厳が保てないのと同じ理屈ですが、ビジネス面での応用性が乏しくなるからでもあります

ランクは最上級から、ブラック、プラチナ、ゴールド、シルバーとしていき、残りはノーマル(色なし)の5段階に分けます。
ブラックカードを得るには、いわゆるKOLとしてだけでなく、超一流の研究・経営・臨床業績を上げなければいけません。
各企業からの推薦だけでなく、第三者機関による人物評価も付け加えて、とにかく「スター性」を認める。
製薬協から「最上級の顧客」であると公認されたステータスは、医師・薬剤師にとっては、かなり誇らしいことでしょう。

ブラックカード以下の4段階は、製薬協にとっての(製薬企業ごとではない!のが重要)順位付けとなります。
それなりにベテラン顧客がノーマルカードでは、かなり厳しい苦情が出そうですが、実は各社がこっそり社内で顧客をランク付けしてきたわけです。
ここで評価を独自に水増しするわけにはいかないので、「これは、あくまでも業界団体の公認なので・・・」と、上手な言い訳をしておく。

こうして全国の医師・薬剤師には、製薬協による5段階の色分け&グレード分けが行われます。
ICカード式の「MRポイントカード」を配付されている以上、その色分けで隣の同僚や、上司・後輩がどのような扱いを受けているのかが、一目瞭然です。
面会数や講演実績、学会での活躍や、高度な臨床活動など、そのポイント獲得過程において多岐に渡る手段を可とすれば、社会で活躍する医師であることを製薬協が公認できる。

医局内では、准教授のほうが教授よりもランクが高いカードを持っているかもしれません。
通常は下克上が許されない医師業界にあっても、このMRポイントカードはひたすらに客観性を目指していくので、現実そのものです

ポイントカードは、その色ごとにさまざまな特典・優待事項を用意していきます。
顧客がカード色のランクアップを欲し、MRとの面会を肯定できるように設定することで、「ポイント蓄積」という興味を持たせる効果も期待できます。
1回のMR面会は、自らのカードごとにポイント獲得数が異なるので、同じ時間を面会しても、顧客が得るポイントには差が生まれる

さて、こうしたポイントカード制は、既存のMR活動と評価を激変させる効果が期待できます。
なぜならカード色によって、訪問するMRにも、社内ポイントが獲得できる仕掛けを新たに想定できるからです。

ブラックカードの医師に面会すれば、その難易度が高いぶん、社内ポイントが一気に獲得できる。
話しやすく会いやすいノーマルカードの医師に面会しても、その単価は低いのですが、日常の面談回数で積み上げることができる。

と、ここまでで長くなっているので、このポイントカード制については、後編をあらためて公開していきます。
他業界の仕組みを用いると、なかなかに面白い構想が作れますね。

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