2015年2月8日日曜日

【MR教育に踏み込んでも・・・】2015年1月21日

本日(1月21日)のミクスOnlineに『横浜内科学会 MR認定制度発足へ 臨床医自らがMRを教育』という記事が掲載されています。
この記事によると、医師が主催する講習会を全10回受講し、すべてを受講するとMRは横浜内科学会からの独自の認定を受けられる
自社医薬品の知識しか持たないMRについては(この講習会を受講していないから・・・?)横浜内科学会の所属医師は面会を拒否することもある、とも書かれています。
認定されたMRを他の(担当エリア外?)医師へ紹介することもあるそうで、一見するとMRのスキルを適切に見ながら、医師から妥当な選別が実施できる内容となっています。

たしかにMRを能力・マナー・職業姿勢等を理由にして、堂々と選別するのは医師の本音としては理想的な話です。
管理人も医師ですから「このMRさんと話すのは時間の無駄だ」とか「なんでこんな常識もないのだろう」と呆れた経験は確かにあります。
臨床も踏まえた勉学を積む優秀MRが少しでも増えることが、結果的に医療貢献となると思って現在も活動しています。
ただし、記事のように地域の医師グループが独自の認定制度を設けてMRを選別する姿勢を示すことは、大きなリスクをはらむと思うのです。

詳細はMonthlyミクス2月号に掲載されるそうですので、各自でご確認いただきたいのですが、管理人が気になっている内容を述べます。




この講習会について詳細は不明ですが、臨床医が全10回の講師となって各疾患領域の実践知識や(医師が望むような)マナー、(医師が望むような)コミュニケーション能力を対面で”教える”のだと思います。
管理人も医師として、各製薬企業内で企画する研修で似たシチュエーションのMR教育を実践してきました。
そのたびに医師視点で驚き、各企業内で色々な違和感を抱えつつも、相互の合意点を探そうとしています。

ただし今回の講演会は認定絡みの話ですから「MRの訪問許可について直接影響する」と考えられるので、横浜エリアに配属中の現役MRにとって大きなプレッシャーとなります。
社内研修であれば、管理人がMRに対して短所を厳しく指摘しても実際の訪問に影響はありませんが、これが担当の顧客医師からの指摘であれば深刻なマイナス要素になることでしょう。
営業成績の低下は人材としての評価に直結するのがMRですから、医師からは分からなくても深刻な事態です。

各社の担当MRは横浜内科学会の医師たちから拒絶されないよう、(外見上は)4月から喜んで受講することになると思います。
しかも「自社医薬品の知識しか持たないMRは、訪問を許せるMRではない」という厳しいスタンスのようですから、これは現行のMR制度を完全に否定するのと同じです。
「臨床医が満足できる多面的な医学知識をもとに、自社プロダクトを否定してでも臨床医寄り&患者さん中心のMRとして発言を」と要求しているようなものでしょう。

これは製薬企業から雇用(正社員・コントラクト)されている現役MRにとっては、「これまでの働き方を自己否定しなさい」と要求するのに等しい。
医薬品を客観的に比較できるのは私たち医師が製薬企業に直接雇用されていないからであって、職業人生を賭けているMRにとってみれば、会社側の方針に反するのは非常に難しいのです。
しかも講習会は各社MRが合同でしょうから、自社プロダクトをおすすめできないMRとしての言動を、競合他社にも見られることになります。
現状の過当競争がMRにとって良いとは到底思えませんが、かといって処方&採用権限を持つ医師グループが講習会の受講を条件にして、担当MRを選別する正当性はあるのでしょうか?

そもそも製薬業界との事前合意無しに認定制度を設けても、その抜け道を探すきっかけを与えるだけで、医師グループにとって余計な損失になるかもしれません。
あるいは正当な営業活動を妨害する行為だとして、製薬企業側が医師グループを訴える危険性もはらんでいます。

もしも管理人が製薬企業の社員であったとすれば、どのような崇高な理念をもとに講習会が開催されていても、訪問規制と同等の効果を持つのであれば「独自の規制が企業活動を妨害している」という発想をすると思います。
この場合、医療機関内で実施される訪問規制とは別テーマとして「認定制度は合理性と根拠に乏しい」という論陣で法的手段に出ることも想定できるのです。

「MRのレベルが低い」「なんでこんな臨床知識もないんだ」と医師がMRに憤りを感じるのは自由です。
現行のMR教育が不十分からもしれないし、あるいは人材の質に問題が大きいのかもしれない。
ただし自社プロダクトの販売成績が社内成績に直結しているMRに対して「プロモーションが自社製品に偏っている」と批判するのは完全な筋違いでしょう。

MRは製薬企業の実働部隊であって、個人の職業理念だけでは行動できない社内規制を受けています。
個人レベルの問題だけでは解決できないのが、現在のMR活動なのです。
だからこそ当Facebookページでは企業として実践できるような「ビジネスモデルの改革」も踏まえて提言しているのです。
プロモーション姿勢に不満があるのならばこれは製薬協や本社担当部署や経営陣にクレームを言うべきであって、現場MR個人に無理難題を押しつける話ではありません。

「とりあえず今年4月から、横浜内科学会の先生たちには上位MRをあてるようにしよう」という情けない製薬企業が出ないことを祈るばかりです。
いずれにしても理想論と現実は食い違っているので「中立公平に医薬品知識を提供するMR」を強制的に作ろうとするのでは無く、法的立場を持つ薬剤師のスキルアップに注力した方が良いのではないでしょうか?

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