2015年3月26日木曜日

【医師の副収入】2015年3月23日

週刊 東洋経済2015年3月21日号の表紙には、『医学部・医者 ウラとオモテ』という刺激的な見出しが踊っていました。
天才外科医ブラック・ジャックが『それでも医者になりますか?』と話しかけるような真っ赤な表紙。
「もうなっているしなあ・・・」と一人で呟く管理人でした。
自主的に廃業する、あるいは不祥事などで免許剥奪とならない限りは、”生涯現役"というのが医師の世界。
勤務医の役職定年こそあれど、天寿を全うするまでは医師であり「先生」なのです。
この特集は詳細な統計データをもとに、医師・医学部生が置かれている現状を鋭く分析する内容でした。
有名私学の中学受験から始まる医学部までの長い道のりは、あながち間違いではなく、管理人も小学校高学年から進学塾に通っていました。
小学6年生当時は将来、医学部に進学するとは予想していなかったのですが、その後も大変な苦労が続くと分かっていたらどうだったでしょうか・・・。
本当の競争は社会人となり、自立した医師になってから何十年も続くのです。
それも到達できる地位の格差が大きい、過酷な競争ピラミッドです。
管理人の場合、医学の世界に足を踏み入れて20年、その前の受験競争が10年以上。
人生の4分の3を賭けて到達した現状を、外部から手厳しく指弾する内容を読み、やはり複雑な思いを抱きました。
賛否はともかくとして、今回の特集は製薬・医療機器・ヘルスケア関係の方々も一読されると良いかと思います。



さて、当Facebookページ的に気になるのは、製薬企業から医師に流れる報酬を扱ったページです。
「医薬経済」副編集長による講演料の解説なのですが、ついに集計額が医師の実名で報道されるようになりました。
これらのKOLたちが1年間で受領した講演料は、概して数百万円にのぼります。
なるほど、糖尿病薬では各社の新薬であるSGLT-2阻害薬が重点領域に。
認知症薬や骨粗鬆症薬でも、相変わらず有力なKOLの動員が続いているようです。
米国サンシャイン条項は太平洋の反対側において、日本国内のKOLが見せたがらない(?)副収入の実態も照らし出したと言えるでしょう。
医師の年間講演料が1,000万円を超えるためには、最高単価でも年間50回以上の講演を行う必要があります。
一見すると同じネタで稼げる美味しいバイトかもしれませんが、あらゆる場所で同業の医師たちに年間50回も講義するKOLの業務負担はなかなかのもの。
講演会後の慰労で、美食を年50回も受けたらKOLの健康にも悪影響が出かねません・・・。
その講義が本当に素晴らしい事例もあるでしょうから、報酬金額の大小だけでは計り知れない面が多く、全てを批判できないのが難点です。
もうひとつ気になるのが、一覧表のKOLに教授だけでなく、准教授・講師が少なからず入っている点です。
肩書きだけ見ると直属の上司がいるポジションなので、優れた基礎研究グループを率いているか、教授から講演会への登壇を依頼されたのかもしれません。
将来の教授候補をあらかじめ大規模な講演に招いて人脈を築いておき、医局内に影響力を残したいスポンサー側の思惑も見え隠れします。
ガイドライン作成に関われば当該の医薬品を販売する製薬企業が近寄ってくるわけで、医療のプロとしてどのように応対すべきか、医師個人にも厳しく問われるわけです。
「年間数百万円の講演料を個人に払ってくれる製薬企業」と利益相反で誤りを犯さず、医師の矜持を忘れないKOLが、この一覧表に並んでいることを願うしかありません。
かくいう管理人も、大学医局員として各社の講演会で症例報告などを担当していたことがあります。
学会発表と違って、製薬企業の講演会は学術的な追求や批判を受ける割合が少なく、座長の支援で最後は上手くまとまってしまう。
営業所長の立派な閉会の辞を聞くと、あとは美味しい料理とお酒が用意された情報交換会が待っている・・・。
後日、数万円の講演料が自分の銀行口座に振り込まれていると、何となく「得をした」ような気がしました。
これが製薬企業のプロモーション活動の一環であることを意識していなかった頃の話ですが・・・。
仕事のひとつだと思っていても、講演にスポンサーが付いた段階で、プロダクト宣伝の片棒を担ぐことになるのが講演会なのだと、医師が皆で理解しなければいけません。
相手は数千億円から数百億円をビジネスで動かす一流企業であって、非常に優秀な人材が集まり、多数の戦略を練り上げています。
それも競合他社に勝つための細かい戦術を踏まえており、各分野でターゲット医師を明確に狙っています。
KOL攻略を専門にするコンサルティング会社も存在するそうですが、管理人たち医師がぼんやりと過ごしていれば、そのまま都合良く、ターゲットとして上手に取り扱われるだけです。
論文不祥事の効果(?)で、今後は奨学寄付金のグレーゾーンもどんどん縮小します。
妥当かつ正当な契約型の関係性が増えていけば、医師の業界もだんだんと認識が変化することでしょう。
長年の甘えや習慣だけでは成り立たないことが増えていくのです。
世間の厳しい注目を集めているときこそ、関係者の望ましい行動が必要です。
MRが社内でコンプライアンス研修を受ける際にも、医療現場で見聞きしてきたことを踏まえて、現状をお考えいただければと思います。

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