2015年6月4日木曜日

【収益難への対策】2015-06-01

特許切れの医薬品(長期収載品)とジェネリック医薬品(後発品)の差額を患者負担にしよう、という議論が業界の注目を集めています。
安価なジェネリック医薬品を最優先で使用してもらうためには、ブランド長期収載品との価格差を実費負担に強制すれば手っ取り早い。
効能効果が同等なのだから、わざわざ窓口負担が増える長期収載品を選び続ける患者は少ないだろう、というわけです。
高齢化も手伝って増える一方の医療費を削減するには、やや強引な発想も必要という感じでしょうか。
財務省も厚労省もこの差額負担案を全面的に支援するわけではないようですが、製薬業界においてはブランドの基本価値を否定されたようなもの。
診療現場で見かけなくなった旧世代品はともかく、現在でも年間数十億から数百億円を売り上げているブランド品は数多く、数十年間も経営の土台を支えている場合もある。
ここを消費者の選択(財布)に委ねようという今回の議論は、苦しいときを支えてくれるブランド品を壊滅状態に追い込みかねません。
当然、各業界団体はジェネリック医薬品の普及促進には同意しつつも、性急な議論には抵抗を示しています。
経営5カ年計画すら根本から揺らぐことになりそうな政策を、諸手をあげて歓迎するわけにはいきません。
さらにブランド品がスイッチOTCで売れている場合もあり(ロキソニン、アレグラ、ボルタレンなど)、ここをピンポイントで圧迫されると苦戦間違いなしです。
議論の行方から目が離せない一方、業界的に望ましくない展開を考慮しておくしかありません。
もし段階的であっても価格差を実費負担にすると決まった場合、収益が低下する製薬企業は経営コストをどのように圧縮していくのでしょうか?
販管費の抑制は長年の取り組みですし、営業車を小型化・ハイブリッド化したり、営業拠点の統廃合も続けてきました。
インターネット経由での情報提供はどんどん普及していて、リアルなMRの職務を奪っている面もある。
それ以上の経営コストを抑制となれば、残念ではありますが、MRを含む人員削減という流れになるでしょう。
最近も大手企業で中高年社員の転身支援制度が実施されたように、給与水準が高いMRの削減は、即効性のあるコスト抑制策です。
年配MRをゴソッと減らすことは各人が積み上げてきた知見や人脈を捨てることにもなりますが、もはや構っていられないという厳しさです。
その一方で新卒を増やしていると社内のMRがどんどん若返ってしまい、社会経験不足のワカモノばかりが右往左往するという状況になります。
医療現場は顧客年齢層が50年分もあるのに、主力MRが(孫のような)ワカモノたちばかりでは、ビジネストークが成り立ちにくい場面が多くなる。
個人のベタな経験が意外と営業力に響くのが、MRという仕事の特性でもあるわけです。
大手から中小へ転職する、CSOでコントラクトMRに転身、という場合も、ブランド長期収載品が売れなくなれば前提条件が崩れてしまいます。
資本力が危うい中小の製薬企業では単独経営が困難になり、合併劇が続くことも見込まれます。
合併すれば余剰人員の削減が必要になるので、やはりリストラされるMRが出てくる。
真面目に仕事をしてきたのに、自らの責任ではない医療費削減策のあおりを受けて失業するMR・・・。
そうならないためには、何をこれからすべきでしょうか?
新薬担当MRであり続けることは、大手企業内でも非常に狭き門となっており、難解なアンメットの世界は単純なセールストークも通用しません。

そこで管理人は、2つの案を考えています。
① 営業部門の分社化
② MRによる地域ベンチャーの起業

まず①については、自社製品だけを扱う現行の営業組織を、完全にあきらめるという発想です。
売れる新薬を連発できない製薬企業は、売れない長期収載品を支えるだけの営業体制を維持するのは困難。
ならば、営業部門を思い切って分社化(子会社)して、他社製品も手広く扱えるように転換します。
現在のコ・プロモーションでは数社レベルの連携ですが、新たな販売会社は数十社の製品を扱うことができるようにする。
いわば、”営業部門の商社化”を目指すのです。
この場合、人員の異動は大規模ですが、これまでの営業組織が抱えてきた「売れる製品がない」状況を解決できます。
しかも競合他社の子会社と統合できれば、どうなるでしょうか?
例えば、降圧剤専門の販売会社が設立できます。
各社で豊富な経験を積んだ老若男女のMRが、ジェネリック医薬品を含むすべての降圧剤を取り扱う。
利尿剤からカルシウム拮抗剤、ARB合剤から直接型レニン阻害剤まで、その製品群はどんどん強化できます。
しかも販売ノルマは各製品の合算で考えれば良いので、各MRは高額でない多数の医薬品をプロモーションしつつも、医療現場からの細かい要望に応えやすくなる。
ブランド力のある長期収載品を使えば、処方の組み合わせ案を含めて、積み上げたデータもしっかりと説明出来る。
MRが現在抱えている社内課題は、じつは合流して新会社になれば多くが解決すると管理人は予想しています。
また②の地域ベンチャーを起業するという案は、地域包括ケアに合わせた発想です。
この場合、医薬品の営業販路を作るのでは無く、地域の医療・看護・介護を潤滑に連携させるコーディネーター会社を新たに作るのです。
なぜならMRは各エリア内で非常に大きな人的コネクションを維持しており、薬局や卸を含めて関係者が多い。
こうした真似されない独自経験を生かせば、国が推進している地域包括ケアにおいても、院内外を含む調整係としての活躍が期待できます。
そして①と②を同時に展開すると、MRの職業経験はさらに大きく広がることでしょう。
一時はMR休業となるかもしれませんが、知的な医療人材として貴重であることは間違いない。
営業力とコーディネート力を合算すれば、他業界からの参入障壁は非常に大きく、容易に追随されない。
MRは新たなビジネス経験を積んでから製薬本社に戻ることもあるでしょうし、ヘッドハントされて別のヘルスケア事業で大活躍するかもしれません。
いずれにしても、このままでは将来が危ないかも・・・と考えているMRの皆さんは、自らの想像力を駆使して現状を乗り切る必要があります。
運良く差額負担案が採用されないとしても、似たような医療費抑制策は今後もどんどん出てくるはず。
皆さんを取り巻くビジネス環境は、大きな音こそしなくとも、激変の最中にあるのです。

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