2015年8月6日木曜日

【病棟に出入りしていたMR 15-08-05】

各社のMR研修で「昔はこうだったですね」と盛り上がるテーマに、「MRは病棟で先生方を待っていた」というのがあります。
現在のように訪問規制が厳しくない時代、MRはお目当ての先生を探して病棟内を歩き回ったり、ナースステーション前で普通に立っていたりしました。
10年ほど前、市中病院に勤務していた管理人は、そうしたMRたちを日常的に目撃したものです。
実例としては
(1)医局前に先生が帰ってこないので、担当病棟の廊下・階段付近で待っている
(2)看護師長にスタッフ向け説明会の用件があるので、ついでに医師も待っている
(3)麻酔科医に出会うために、病棟から手術室の廊下を往き来している
(4)とりあえず各病棟を階段で上り下りしながら医師を探している
といった具合です。
医師が外来を終えてから、急いで病棟に戻ると、スーツ姿のMRが礼儀正しく待っている。
大きな紙袋から資材を取り出し、ぱぱっと新製品の説明をしてから、駆け足で帰って行く。
こんな状況が、多くの病院で実際に起こっていました。
現在は患者さんの個人情報保護の観点から、完全にNGです。
しかし、医療現場の雰囲気やスタッフ間の会話、オンタイムそのものの医師と一緒に過ごせる等、MRにとっては貴重なOJTとなっていました。
なかには医師がMRにカルテを見せながら情報交換をしている場合もあり、患者さんの許可も得ていなかったと思います。
医師側もMR側も、おおらかな(いい加減な)状況を許容していたのが、結果的に訪問規制を強化させる誘因となりました。
医療の消費者である患者さんの立場からは、上記が
(1)見知らぬスーツ姿の男女が、自分がパジャマ姿で入院している病棟内に紛れ込んでいる
(2)看護師でさえ、その見知らぬスーツ姿と何やら相談事をしている
(3)手術後の家族を見舞いにきたら、医師とスーツ姿が談笑しながら出てきた
(4)大きなカバンと紙袋を抱えたスーツ姿が、院内の階段を勝手に上り下りしている
といった具合に見えるわけです。
MRという専門的な職業の社会認知度が高くないために、「医療貢献」のために訪問しているという本来の意義が伝わらない。
それどころか、不審者と同じような先入観でMRが眺められてしまう。
あくまでも噂話ではありますが、医療機関を狙う泥棒は白衣、あるいはスーツ姿で院内に侵入すると言われます。
白衣であれば医師などを装いますが、見慣れぬ顔の白衣姿はすぐに気づかれてしまう。
一方、スーツ姿でカバン・紙袋持ちが標準となっているMRの場合、初侵入の泥棒が変装するには好都合。
窃盗品をしまうにも、MR姿は便利です。
結果として、MRは真面目な仕事であるにも関わらず、悪党にその姿を利用されてしまうリスクがあるのです。
現在、医療機関は新築になるたびにセキュリティが厳重になり、監視カメラも増えて泥棒は容易に近づけません。
ただし、監視カメラがあっても病棟の入り口が常時施錠されているのは特別な場合で、一般病棟はフリーパスというのはまだ多くあります。
その場合、不審者対策としてスタッフ以外の服装を一斉にアウトとすれば、お金もかからず便利です。
コール数確保を目指した過剰なSOV攻勢を防ぐ意味でも、「MRは特定ゾーンのみに訪問可能」とすれば、泥棒も一緒に追い出すことができる。
何より、プライバシーを重視した医療経営を患者さんへアピールすることができます。
「当院ではスーツ姿のMRが各所に出入りしていますが、業務の一環ですのでご容赦ください」という釈明では、患者さんを納得させるには不十分でしょう。
「あの頃は、病棟で先生と一緒に歩いたものですが」という部長クラスは、各社にいるのです。
もちろん、当時見聞きした患者さんの個人情報を外部漏洩などせず、貴重なビジネス経験として生かしている(と信じています)。
なかには「オペ室でもご一緒させてもらった」「カテ室を見学していた」というMR経験者もいるので、社内では用意できない経験を院内で得ていたといえるでしょう。
その際、患者さんのプライバシー保護にどの程度注意していたかは、現場任せだったのでしょうが・・・。
管理人の持論は、Monthlyミクス連載でも書いているように「MRの病院実習」です。
とにかく院内に滞在する時間を増やし、OJTとして医療従事者のようにリアルきわまりない経験値を積むことが重要です。
*過去連載は新世代MR講座「社内資料編」ブログに公開しています。「MRが院内実習する日」でGoogle検索すると、発見できます*
最近は病院実習を短期間、実施している製薬企業もあるそうですが、お客さん扱いでは医学部生・研修医並みの緊張感を持たせることが出来ません。
医師が最もホットな思考を働かせ、患者さんの治療に全力を尽くし、プロ同士で面白い討議をしている雰囲気に、MRも関わってみるべきでしょう。
ひたすら座学の1ヶ月間よりも、院内で丸1日過ごすほうが記憶にも残りやすいでしょうし。
再びMRが病棟へ自由に出入りする日は来ないと思いますが、正式な実習生として堂々と患者さんに関わる日は来て欲しい。
高い見識を身につけている事実を、患者さんへ直接説明できる機会が必要です。
各社でMRさんたちの姿を研修中に見つつ、管理人はそのように感じるのでした。

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