2017年2月27日月曜日

【気になる公募  16-11-22】

近澤洋平事務局長と管理人は、毎年の「メディカルカレッジ」セミナーで、製薬業界志望の就活生向けに講演をご一緒する仲です。
やはり、MRの職業理念をあらためて提唱する、という意味での人材公募でしょうか。
ご参考までに、2008年当時の管理人による連載から、抜粋をご紹介しておきます。
「(最も困難な課題として)MRが診療所や病院で起きていることを“実際に目撃していない”または“現場にいない”点を挙げます。
あくまでも医師からの伝聞に情報源を頼っているので、正確かつ客観的には医療現場の潮流を把握できていません。
医師以外にも看護師は7対1看護導入による転職者の増加、薬剤師は薬学部が6年制に変更されたことによる将来的な新卒者減少など、この数年で医療業界には大きな変化が起き始めています。
これらの医療制度変更は処方箋様式や薬価改定の方法にも及んでおり、今年度からの後期高齢者医療制度および特定健診・特定保健指導の開始など、厳しい社会保障費抑制政策と合わせて、MRの未来にも甚大な影響を与えます。
 問題は、それらに先取りして気づき、どの医療関係者でも納得しうるような明快な現状理解が、MRも出来ているかでしょう。
 MRは診療に直接従事する立場ではありません。そのため、立派なビジネス理論を身に着けて難解な医薬品知識をモノにしていても、“では、医療現場って何?”という根本的なことが実はとても答えにくい。
でも、これは本来おかしな事態です。MRが扱う自社製品は患者の体に直接使用されているのであり、患者は医療の中心に位置します。扱う製品を日々使用してくれている患者を、外堀を隔てて遠く眺め、風向きや日当たりや歓声で内部の様子をうかがっているような不思議な状態なのです。医療の真ん中を、目撃して知ることが難しい。医師が医療の中心に関わり、生きた情報を毎日のように得ているのとは様相がかなり異なります。
 そして情勢以上に、医療現場については医学部生よりも分かっていません。“患者のために”という標語を全社で掲げていても、物理的距離が患者と接近しているわけでもない。医療に貢献したいというMRの気持ちが前のめりにあっても、実感と経験が伴わない以上、それは社員を鼓舞するためだけの心地良いフレーズです。
 では、実際の患者が見えなければ、MRはどこに判断基準を置けばよいのでしょうか?「そうか、やはり具体的な数字だよ」となる。売上高、純利益、特許期間、シェア変化、コール数、社内での成績など、仕事のあらゆることが数字で表現されて、皆さんの会社を動かしています。数字というのは裏切ることのない存在、いわばビジネスにおける真理だとも思えてしまう。製品別で社内上位25%に入りたい、インセンティブ旅行を得たいなどもありますね。
 しかし医療はあくまでも人間という有機的で数字化できない存在を対象としています。数値だけでは、複雑な真実の一部分しか表せない。
<医療とは人生の葛藤である>
 私がこれまで各社の営業所に出入りしてきて、もっとも違和感を覚えるのは社内の雰囲気に“医療っぽさ”をほとんど感じないことです。
 おかしな言い方かもしれませんが、そこに患者の“人生”や“喜怒哀楽”を想像させるきっかけが存在しない。壁には見事にデザインされた講演会ポスターや製品概要、入口には山積みになった各製品パンフレット。応接室や会議室もきちんと整頓されており、綺麗すぎて無機質にすら感じる。
 「オフィスなんだから当たり前でしょう」というのも理解できます。けれども、担当施設から帰ってきて一番ホッとするのが自分の机についた瞬間だったら、それは何故なのでしょう?上司の鋭い視線が気になるとしても、医師に睨まれれないから?
 医療現場とオフィスで最も異なるのは、そこに“患者の人生があるかどうか”です。いつも病室に出入りしていれば、ベッドには患者という人間がおり、多くの病気への苦悩や困難を抱え、それを支える家族らの葛藤もひしひしと感じます。あくまでも医療現場は病気と闘う“戦場”であり、無事に打ち勝って日常生活へ戻る人から、無念にも生きて帰れなかった人までが混在していて、毎日がピリピリとした混沌と変化に溢れています。
 医薬品や医療機器を用いて治療をするというのは、優秀な武器を持って病気に立ち向かう、そして難局にぶつかっても希望だけは捨てたくないという実直な試みの連続です。自らの頭脳と技術で疾患と向き合い、患者という人間が病気から少しでも解放されて欲しい。日本では、多くの真面目な医師がそういう職業的使命感を捨てずに努力している。
 もちろん、MRも同じ“医療に貢献したい”という熱意を持ってこの仕事を続けているのでしょう。会社組織の一員としてだけでなく、専門的なスキルを身につけた医療者として活躍したいという欲求は、驚くほど高い。
 ですから病室や診察室と違って、患者のいない綺麗なオフィスの中では実感できない医療現場の本質を学ぶ機会を増やすことがさらに必要でしょう。
MR認定試験には、学術・製品知識だけでない本格的な“医療現場体験”も含めるべきです。制度的に難しいというのは製薬業界なりの言い訳でしかなく、本当の医療者を育てるのであれば医学部生と同じく、毎日を現場で過ごさせ患者と向き合わさせる体験が必須です。何となく遠巻きにしていては年単位で努力しても本質は理解できない。変えていくのは製薬業界として、今からでも決して遅くはありません。」

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